元々はブラジルのアフリカ系黒人奴隷たちの間で生まれた踊りが元となっており、当初は打楽器と掛け声だけの音楽が年月を経ることによってヨーロッパの民族舞曲と楽器が混ざり合い、サンバの原型が生まれました。有名な「リオのカーニバル」に代表されるように打楽器がメインの曲に併せた即興的な踊りは陽気で情熱的。いかにもブラジル!というダンスですね。

しかし、社交ダンスで呼ばれているサンバは、いわゆる「カーニバル」のサンバとは全く趣が異なります。というのも、リオのカーニバルなどを見て判るようにサンバは本来大勢の民衆が一緒に音楽にあわせて踊る、というダンスなので社交ダンスのような上流階級の人たちのダンスには向きません。そこで「マシシ」というカップルダンスにサンバの音楽を用いて踊る、というスタイルが出来上がりました。これがいわゆる「ダンス音楽」での「サンバ」です。このサンバが、いわゆる1950年代のラテンブームで欧米や日本に広まり、1960年代に競技ダンスの正式種目として取り入れられました。

ですので、一般的な「サンバ」とダンス音楽での「サンバ」は基本的に全く同じで2/4拍子(楽譜上は2/2拍子で表記されることが多い)のリズミカルな曲調になります。「バウンス・アクション」という上下動の激しいスタイルで踊られるので、ダンサーのリズム感を狂わせないようにしっかりとビートを刻むことが大切になります。

また、音楽的は本来4ビートなんですが楽譜上も2/2拍子で表記されることが多く、また競技ダンスの世界でもサンバを2拍子と考えていることが多いので、実質的には16ビートで捕らえると楽かもしれません。つまり16ビートは一小節が16拍(1拍4ビート×4拍)に分割されるのでリズムを言葉で表すと 「ッッッタッッッ、ッッッタッッッ」 となります。これにサンバのリズムを組み合わせて 「ッッタターーー、ッッタターーー」 という感じになる訳です(わかりますか?)

先に述べたように、サンバは元々が打楽器と掛け声だけで演奏された曲ですから、今日の演奏でも打楽器つまりパーカッションのリズムがあると非常に盛り上がります。どちらかというとパーカッションがメインになる曲ですね。楽しく心躍る演奏を心がけたいです。