パソドプレはスペインの国技でもあり伝統娯楽でもあり、闘牛において牛と闘牛士が入場する際に演奏される楽曲の総称です。17世紀に始まったサルスエラ(スペインのオペレッタ)の舞踏曲としてパソドブレが組みいれられるようになり、やがて民衆の間でもパソドプレに合わせて踊られるようになりました。

男性がマタドール(闘牛士)を、女性がケープ(マタドールがあやつる布)又は牛をモティーフにして踊られるパソドブレは、1920年代のカフェで「スパニッシュ・ワンステップ」というステップで生まれ、これがフランスに渡って現在のパソドプレのダンス形式になったとされています。ですので、他のラテン種目が女性が主役であるのに対して,パソドプレでは男性が主役になる点がダンスの上での大きな特徴です。

もともとパソドプレは闘牛士が入場する際の行進曲ですので、曲は基本的に4分の2拍子なのですが、3拍子の要素が入って8分の6拍子で演奏されることもあります。パソドブレ「paso doble」はスペイン語で「倍のステップ」という意味ですから、テンポも通常の倍の早いテンポで演奏されます。競技ダンスや技術検定の標準種目となっていますが、踊れる人が限られるのでダンスパーティーで演奏されることは少ないです。